毎年3月に発表になる国連調査(CNN)による「世界幸福度ランキング」
2019年版もそろそろ発表されるのではないでしょうか。
2018年、日本は54位という数字でした。2017年は51位だったので、3ポイントダウンです。
一方1位はフィンランド。
2016年のデンマーク、2017年のノルウェーに続き、3年連続で北欧の国が1位に輝いています。
いったい日本とは何が違うのか、どういった点が評価されての1位なのでしょうか。
世界幸福度ランキングとは
世界幸福度ランキングは6つの項目から評価が決まります。
income (所得)
healthy life expectancy (健康寿命)
social support (社会的支援)
freedom (人生選択の自由度)
trust (信頼)
generosity (寛容)
このうち、健康寿命に関しては、日本は世界でもトップレベルです。
平均寿命とは違い「健康的に日常生活を送れる期間」、つまり介護に頼ったり寝たきりにならずに過ごせる期間のことをいうのですが、
これは世界で見ても日本がトップクラスの数字を出していたといいます。
統計を取る年によっても少し変わってくるのですが、たいていは世界3位以内に入っています。
平均寿命も男性が世界3位、女性も世界2位ですし、これに関しては誇れる数字です。
(その分、要介護の期間も長くなってしまうという問題点も指摘されていますが)
また所得は「1人当たりのGDP」、信頼は「腐敗の認識(社会・政府に腐敗が蔓延していないか)」、寛容さは「過去1か月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか」などで評価されるようです。
寛容さに関しては日本の感覚だと「ん?」ってなってしまいますが、あくまで国際基準ということで。
日本は寛容が足を引っ張る?
さて健康寿命では上位の数字をたたき出していた日本ですが、他の項目のこれまでの傾向を見てみると、
所得や社会的支援に関しては25位前後、意外と悪くないですね。
人生選択の自由度に関しては50位を超えるくらい、総合順位と同程度の数字になります。
信頼に関しては120位あたりですが、「腐敗の認識」が基準なので低いほうが良い数字です。
下から数えると40位くらいになります。
そして寛容さが140位という数字、あまり日本だとなじみのない項目が足を引っ張ってしまっていますね。
国連のレポートによると、上位の国は6項目すべての得点が高い傾向にあるとのこと。
日本のように健康寿命だけが長くて、他の項目はイマイチという場合、順位は低くなってしまいがちです。
北欧の国は医療費・教育費が無料
さて、日本とランキングトップになる国はいったい何が違うのでしょうか。
過去3年間で1位だったデンマーク、ノルウェー、フィンランド、それぞれの項目が独立しているのではなく、密接にかかわっていることがわかります。
この3つの国に共通している点は、教育費や医療費がほぼ無料だという点です。
医療費に関しては国によって多少の自己負担が発生しますが、学費に関しては公立であれば、小学校から大学院までは学費が無料です。
子育てに関する補助金もあり、保育施設も充実。
子供のことに関して困ることはないでしょう。
ちなみにこれはこの3か国だけでなく、他の北欧諸国でも同様のところが多いようです。
ですがその一方で税金は日本以上に高く、消費税は25%前後、所得税も25%以上が普通となっています。
物価も日本以上に高いです。
それでも、国民はそれに一切の不満を持ちません。
やはり教育費や医療費が無料であるという、「社会的支援」の手厚さがポイントになっているのでしょう。
教育費無料からもたらされる自由
何よりこの社会的支援の豊かさは、国民に「人生選択の自由」をもたらします。
北欧の国の子供たちも、小学校・中学校・高校・大学へ行き、卒業後は何かしらの仕事に就くという点では日本と変わりありません。
もちろん、高校を卒業してすぐに働くという方もいます。
ですが日本のように、大学は4年で卒業・就職活動は一斉に開始、というような固定観念はありません。
(今は就活ルールもかなり変わってきたようですが)
大学に在籍する年数は学生によって違いますし、終活シーズンもありません。
大学が何年制なのかは国によって違うのですが、最短で卒業して働く方もいれば、卒業前に海外へ行ってギャップイヤーを楽しんだりする人もいます。
就職に関しても、在学中に就職活動する人もいますし、卒業してからゆっくりと仕事を探す方もいます。
それにもし学んだことにしっくりこなければ、別の大学や学部に入りなおすというのもありです。
たくさんの選択肢があって、どれを選ぶも自由なのです!
教育費が無料であるため、いくらやり直しても金銭的負担はありませんから。
ちなみに就職後に学びなおすのも全然ありです。
仕事をしていて「何か違うな」と感じたら、また大学へ戻っても学びなおしてもいいのです。
30代・40代からまた大学に入りなおすという方も珍しくはありません。
日本でも社会人になってから大学に入りなおすことはできますが、やっぱり金銭面だったり、多少なりのハードルはありますからね。
でも北欧ではそういったことに対して、ハードルも偏見も一切ありません。
実をいうと、幸福度がトップの国でも1人当たりのGDPはそれほど高い数字になっているわけではありません。
それでいてあれだけの税率なのに、国民が不満を持たないのは、やはりこういった社会的支援が充実していて、それに伴う自由な選択が保障されているからでしょう。
あとがき
このように、幸福度が高い国はそれぞれの項目が密接に結びついています。
ただあくまで北欧の成功モデルというだけで、日本で同じことをしてもおそらく成功しないとは思いますが。
でも幸福な国の人が幸福である理由を知るだけでも、私たちの生活の参考になるのではないでしょうか。