みなさんは鰹節というと削られたものをイメージしますか?それとも削られる前のものでしょうか?
削られる前の鰹節というと、まるで木材みたいにカチカチですよね。
元々は魚のはずなのに、どうしてあんなに硬いのでしょうか?
今回はその硬さの秘密について調べてみました。
どうして鰹節はあんなに硬いのか
削る前の鰹節って、どうしてあんなに硬いのでしょうか。
元々は魚のはずなのに、鰹節になるとまるで木材かのようにカッチカチです。
鰹節同士で叩くとカンカン鳴りますし、削るときもかんなを使いますし。
下手したら木材よりも硬いのではないでしょうか?
ただ実をいうと、あそこまでカッチカチに硬いのは鰹節の中でも「本枯節」と呼ばれるものだけ。
全体の生産量から見ると、1割にも満たない程度だそうです。
鰹節にもいろいろあって、作業工程によって「荒節」と「枯節」の2つに分けられます。
そして枯節のなかでも、多くの工程を経て作られたものが「本枯節」となるわけです。
史上に流通している鰹節は8割以上が荒節であり、本枯節は鰹節の中でも最高級品。
なのにそれが鰹節全体のイメージになってしまうなんて、相当なインパクトですよね。
鰹節が生まれるまで
でもどうして本枯節はあそこまで硬くなってしまうのでしょうか。
鰹節になる鰹はまず「生切り」が行われ、4枚に解体されます。
(3枚おろし+血合い部分を腹側と背中側で分ける)
そこから金属でできた籠の中にきれいに並べ(籠立て)、その籠を縦に10枚ほど重ね、75~98度のお湯で加熱されます。
この工程は煮熱(しゃじゅく)と呼ばれ、ここで鰹の身が引き締められるわけですね。
煮熱を終えた鰹は骨や皮、皮下脂肪や汚れが取り除かれ、いよいよ燻しの工程に入ります。
燻しの工程は「焙乾」と呼ばれ、何度かに分けて節を燻製にすることで、水分が取り除かれていきます。
薪に使われるのは主にナラ・クヌギ・サクラなど。
特に最初に行われる燻しは「一番火」と呼ばれ、一番火の翌日には実の欠損や傷がないかがチェックされます。
その後もさらに10~15回の焙乾が行われ、水分量も当初の30%にまで減少。
こうして焙乾の工程が終了したものが「荒節」となります。
「花鰹」として親しまれているのも、この荒節ですね。
パッと見は皆さんがイメージしている鰹節とは少し違うかもしれませんが、この状態でもかなりの硬さがあるみたいです。
驚異の硬さを誇る本枯節
しかし枯節はここからさらに複数の工程が行われます。
そのもっとも特徴的な工程が「カビ付け」でしょう。
そうなんです、実は鰹節はカビを使って製造される発酵食品なんですね。
そういった意味では、チーズや納豆の仲間なのです。
鰹節に使われるのは「カツオブシカビ」という、自然界には存在しないカビを使います。
出来上がった荒節をさらに日光の下で乾燥させたのち、表面に浮き出た脂肪分などを削り落とします。
この状態を裸節と呼ぶのですが、今度は専用の部屋で節にカツオブシカビを付着させていくのです。
カツオブシカビは節の中に残った水分を吸収したり、表面の脂肪分を分解させながら、節を熟成させていきます。
カビを付着させた節はまた日光の下で乾燥させ、節させた後はまたカビを付着させて…
この工程が2回以上の節が「枯節」、5回以上になると「本枯節」となるのです。
本枯節となると、6か月以上もの時間がかかるとも言われていますね。
(荒節は1か月程度)
本枯節にもなると、水分量10%ほどにまで減少。鰹のころは5kgあった重量も、1kg未満になってしまうといいます。
カビによる水分吸収と日光による乾燥が繰り返されるうちに、当初からは考えられないほどの硬さになり、皆さんがイメージする鰹節になるのです。
あとがき
身近な食品ではあるものの、なかなかその製造工程を知る機会のなかった鰹節。
あそこまでカチカチに硬いのは、日光による乾燥とカビによる水分吸収の繰り返しが原因だったのですね。
柔らかい鰹があそこまで硬くなるなんて、カツオブシカビ、おそるべしです。