この時期はスポーツが熱いですよね。
学生時代に部活動をされていた方は、いろいろと思い出しているのではないでしょうか。
もし自分に子供が出来たら、同じスポーツをさせたいと思っている方もいるでしょう。
ところで、運動神経は遺伝的な要因が大きいというイメージですが、これは本当なのでしょうか?
幼少期に運動神経を伸ばす方法や、あるいは大人になってからでも鍛えられる方法などはあるのでしょうか?
そもそも運動神経とは
みなさんも運動神経を意識する瞬間、たくさんあったと思います。
同じ時期に初めて、同じ練習をしているはずなのに、友達の方が上達がはやい。
あるいは自分より遅く始めたはずなのに、もう追いつかれそう…
あらゆるスポーツで、上達の早さには個人差があります。
ただ私たちはそれを「運動神経がいいから」「センスがあるから」を片付けがちですが、その考えは正しいのでしょうか?
私たちのイメージする運動神経というと、身体能力の高さとほぼイコールになりますよね。
足が速い・パワーがあるなど、そういった能力を持った選手を運動神経がいいと思いがちです。
ですが運動神経が持つ本来の役割は、「身体を動かすための命令を脳から送る」ことです。
身体だけではなく、内臓に命令を送る神経も運動神経と呼ばれています。
もちろんこの運動神経はすべての人に備わっていますし、その神経の働きにも差異はありません。
遺伝的な要因もほぼなく、生まれ持った運動神経は全員がフラットな状態といっても過言ではありません。
つまり運動神経の差が、身体能力の差になるわけではないのです。
上手くなるスピードに差が出るのはなぜ
ではどうしてスポーツの習得の早さに個人差があるのでしょうか。
それはその人が幼少期からの経験の中で、同じような動きを習得していたからです。
昔から追いかけっこや鬼ごっこが好きだった子は、スタート・ストップの繰り返しの動きが、サッカーやテニスで生きてきます。
ドッヂボールでよく遊んでいた子ならば、早い球を投げる動きが野球のみならず、テニスやバレーでも生きていきます。
幼少期に覚えた動きが、後に始めたスポーツでも生かされるのです。
いわば「応用力」とでもいうべきでしょうか。
人は新しい動きを覚えると、新たな神経回路が発達し、動きが記憶されます。
子供のころに外で走り回っていた子供は、この神経回路が発達しているからですね。
さらに別の動きを習得すると、また新しい神経回路が発達したり、その神経回路がどんどん枝分かれしていったりなどが起こります。
すると複数の神経回路同士がシナプス(神経と神経のつなぎめ)でつながり、どんどん運動神経が発達していくのです。
この神経回路を育むには、6歳~12歳の間が適しているといわれています。
この期間はゴールデンエイジと呼ばれており、いろいろなスポーツに親しませるといいでしょう。
運動も勉強も同じですね。
ちなみに遺伝的要因が大きくなるのは、骨格の大きさや筋肉の付き方です。
そういった部分では、向いているスポーツ・向いていないスポーツの傾向が出てくるかもしれません。
大人になってからでも鍛えられる?
では大人になってから運動神経を鍛えることができるのでしょうか?
その答えはYesです。
たしかに脳が大きく成長する期間は過ぎていますが、新しい動きを習得できないわけではありませんから。
大人だって新しい動きを覚えたら、新たな神経回路が作られますし、他の神経回路とつながっていくことだってあります。
ただし子供の時以上に「継続して行うこと」が重要になってきます。
神経の衰えていくスピードは、発達するスピードとは比べ物にならないくらい早いですから。
また体が固くなっている分、ケガのリスクも大きいので、十分に注意しながら体を動かしてください。
あとがき
自分が学生だった頃は、「あいつは運動神経がいいから」ですませていました。
そうやって自分に言い聞かせていたのかもしれません。
ですがその理由をよく知ると、脳の発達度の違いによるものでした。
やっぱり勉強もスポーツも、脳を鍛えるのが1番大事ということなのですね。