ついついクセになってしまう骨をボキボキと鳴らす行為。
手の指に、肩や首、いろいろな骨がボキボキとなりますよね。
ですが意外なことに、この音が鳴る理由は最近まで分かっていませんでした。
理由がはっきりとわかったことで、体への影響もはっきりとしてきたところですが…?
骨が鳴るメカニズムは最近まで分かっていなかった
手や首の骨をポキポキと鳴らすのがクセになっている方、皆さんの中にも多いのではないでしょうか。
ドラマや漫画でも喧嘩の前には腕の骨を鳴らしたりしていますし、かなり古い慣習ではあるみたいです。
ですが音が鳴るメカニズムについては、実は最近まで明かされていませんでした。
というよりも、これについての実験があまり行われていなかったのです。
仮説としてはいくつかあり、もっとも有名なものとしては「関節内の液体中に存在する気泡がはじけることで音が鳴る」というものでしょうか。
この仮説が提唱されたのは1971年のことなのですが、そこから40年以上もの間、それを証明する実験は行われていませんでした。
実は気泡ができたときの音
しかし2015年、ようやく骨から音が鳴るメカニズムが解析されました。
この実験を行ったのは、カナダのグレッグ・カウチャックという人物。
地元の指圧師に協力してもらい、指に特別な装置を取り付け、ポキっと骨が鳴るまで徐々に引っ張りました。
そして音が鳴る瞬間をMRI撮影したところ…
そこに映っていたのは、関節内で気泡が発生していた映像でした。
関節でつながる骨と骨の間には、「滑液」という液体が存在しています。
骨と骨が直接つながると摩擦で骨がボロボロになってしまいますから、骨液が潤滑油的な働きをして、骨の動きをスムーズにしているのです。
この骨液はヒアルロン酸や糖たんぱく質を豊富に含んでいるのですが、同時にガス(酸素・二酸化炭素)も含んでいます。
さて私たちが骨を鳴らそうと指に力を加えると、骨内の圧力は急激に下がることになります。
ん?力を入れるんだからむしろ圧力は上がるんじゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
よくよく考えてもらうと、骨がポキっとなるときは、関節でつながる2本の骨が離れた時です。
そしてその離れてできた隙間に滑液が流れ込み、圧力は下がっていきます。
この時、そこに溶け込んでいた酸素と二酸化炭素が気泡を作り出します。
この気泡ができるときの音こそが、骨を鳴らした時のポキっという音なのです。
気泡がはじけた時ではなく、気泡ができた時の音なのですね。
気泡ができた後、酸素と二酸化炭素は20分ほどの時間をかけてまた骨液に溶け込んでいきます。
同じ個所の骨を連続して鳴らすことはできないのは、まだ気泡が残っているからですね。
骨を鳴らすのは本当に危険?
さて気になるのは骨を鳴らすのが危険なのかということです。
こちらもあまり研究データはありませんが、それほど危険な行為ではないとされています。
特に指の骨を鳴らしても、あまり体全体に影響があるわけではありません。
実は面白い実験を行っている研究者がいて、右手は一切骨を鳴らさない、左手は日常的に骨を鳴らすという検証を60年も続けたそうです。
その結果、右手にも左手にも問題が出ることはありませんでした。左手の指が極端に太くなることもなかったそうです。
ですが場所によってはやや危険ということもあります。
もっとも危ないのはやはり首でしょうか?
ネットでは骨の首を鳴らすと1トンの力がかかったり、頸椎(首の骨)に致命的な影響を与えると書かれているところもありますね。
実際にはそこまで体に致命的な影響を与えるくらいの力がかかることはないみたいですが。
とはいえやはり積み重なった負担を無視することもできません。
首の骨をポキっとすることで、もっとも影響があるのか椎骨動脈の周辺です。
椎骨動脈は頸椎にくっつくように存在していて、脳に栄養を送る働きをしています。
しかし首をポキっとすることで、この周辺の血管にも少しずつが負担がかかってしまい、血栓が作られるリスクが高くなるということは考えられます。
すると動脈硬化や脳梗塞などにつながるということも。
直ちに命を脅かすような状態にはなりませんが、いずれにしても骨はあまり鳴らさないほうがいいみたいです。
あとがき
つい最近になってようやく判明した骨がポキポキとなる理由。
基本的にそこまで体に影響があるわけではありませんが、人目を気にするという意味でも、あまり鳴らさないほうがよさそうです。