皆さんはジンバブエドルって覚えていますか?
大量の紙幣が発行され、紙幣の価値は暴落。パンを買うためにリアカーを引きながらお金を運んでいる人の写真なんかが印象的でした。
そのジンバブエドル、現在はいったいどうなっているのでしょうか?
詳しく調べてみました。
強烈な衝撃を与えたジンバブエドル
ジンバブエドルが日本でも話題になったのは2008年ごろ。
このころジンバブエではハイパーインフレーションが起きており、モノの値段が急上昇。
その結果、大量の紙幣が発行されていました。
両手いっぱいに紙幣を抱える人や、リヤカーで紙幣を運ぶ人など、信じられない光景が広がっていましたね。
パンですら2000億ジンバブエドルかかっていたそうです。
ここまで行くと、もはや紙の値段や印刷代の方が高くついていたのではないでしょうか。
100兆ジンバブエドルなんてものまで発行されていたのですが、
当時のレートでいえばこれでも日本円で25円程度だったそうです。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?
ここまでのインフレが起きた背景などについても説明しておきましょう。
ジンバブエで起きたハイパーインフレーション
ジンバブエのインフレは2000年ごろからじわじわと起こり始めました。
この年、ジンバブエ政府は白人が使っていた農場を黒人の農家に分配するという「ファスト・トラック」を行っていました。
ジンバブエはもともとイギリスの植民地だったため、その血を引く人たちも多く住んでいたのですが、彼らが持っていた農場を取り上げてしまったのです。
ジンバブエの真の独立を図ったのか、それとも第二次コンゴ戦争によって大きな批判を浴びていた当時の大統領の保身のためなのかはわかりません。
ですが結果的にこの政策がインフレの引き金となってしまいました。
黒人農家に分配された農場ですが、それまで白人が持っていた技術や知識などは継承されなかったため、上手く食物の栽培ができません。
さらに悲運なことに、この年のジンバブエは雨量も例年より少なく、干ばつまで起きてしまいました。
ジンバブエの農業はほんの1年ほどで完全に崩壊してしまったのです。
その結果、ジンバブエ国内では食糧危機に。さらに国としても輸出量が激減してしまったため、あっという間に財政赤字になってしまいます。
そして政府はその赤字を埋め合わせるため、中央銀行に大量に紙幣を発行させます。
それが2008年のあの衝撃の状況へとなっていくわけです。
2015年ジンバブエドル廃止
日本で話題になってからしばらくたった2009年2月、ジンバブエドルにデノミネーションが断行されました。
簡単に言えば桁が多すぎるから整理されたという感じです。
ただこのデノミネーションもかなり異例で、なんと12桁が切り捨てられました。
今までの1兆ジンバブエドルが、1ジンバブエドルになってしまったのです。
数字で表せば100,000,000,000Z$→1Z$
ある程度レートも正常となり、この時には100兆ジンバブエドルも日本円で24兆円くらいになっていました。
が、その後ジンバブエ政府は公務員に対して米ドルで給与の支払いを行うことを発表。
次いで4月にはジンバブエドルの発行停止も発表し、これ以上ジンバブエドル紙幣を流通させない方針であることも合わせて発表されます。
そして2015年、ジンバブエドル廃止が決定。
今では米ドルなどが通貨として使われています。
いまでもオークションで取引されている
ですがそんなジンバブエドルも、いまでは意外と価値のある紙幣になっています。
もちろん、お金として使うことは不可能ですが、紙幣マニアの間ではそれなりの値段で取引されているのです。
ネットオークションサイトで探してみると、簡単に見つかりますよ!
特に人気なのは100兆ジンバブエドル紙幣で、1万円を超える金額で出品されていたりします。
日本でも話題になった+そこそこ流通している+桁数が異常
という点で人気なのでしょうか?
当時よりも価値のあるものになるなんて、ジンバブエ政府も予想外だったのではないでしょうか?
あとがき
日本でも話題になったジンバブエドルですが、残念ながら2015年に廃止となってしまいました。
でもそういった話題性からまた別の価値を見出すなんて、面白いですね。
皆さんの周りにも、もしかしたら意外なとこから価値が出てくる物があるかもしれませんよ。