皆さんも「マイナスイオン」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
かつてはマイナスイオンの健康効果をうたった家電製品がたくさん発売されましたよね。
ですがその効果は結局曖昧なまま。今も同じようにイオンを使った類似製品が登場しています。
結局マイナスイオンは何だったのでしょうか、本当の効果とは?
いまだに曖昧なマイナスイオン
実のことをいうと、いまだにマイナスイオンの存在は曖昧なままです。
もともとこの言葉は造語であり、科学・化学いずれの分野でも使用されていませんでした。
なので海外で「マイナスイオン」って言っても全然通じないそうです。
その定義は「空気中の原子や分子がマイナスの電気を帯びた大気イオン」とされています。
皆さんも高校で習った通り、イオンとは「分子が電気を帯びたもの」を指します。
分子がプラスの電気を帯びていれば陽イオン
分子がマイナスの電気を帯びていれば陰イオン
と別れていますね。
ではこのマイナスの電子を帯びた陰イオンのことを「マイナスイオン」と呼んでいるのかというと、そんな簡単な話ではないのです。
100年前から研究されているマイナスイオン
マイナスイオンの歴史は1899年、エルスターとガイテルという科学者が空気イオンを発見したことから始まりました。
もう100年以上も前なのですね。
そしてこの空気イオンのうち、マイナスの電気を帯電したものを『negative air ion』と呼んでいました。
空気中には無数の水の微粒子が漂っているのですが、そこに他の成分が付着して、かつ静電気を帯びたものがこれにあたるといいます。
そしてこの「negative air ion」がいつしか日本国内でマイナスイオンと呼ばれるようになったといいます。
マイナスイオンに健康効果はある?
しかし、問題になったのはこのマイナスイオンにさまざまな健康効果があると大々的に宣伝されたことです。
マイナスイオンは99年~02年あたりにかけて、爆発的なブームを巻き起こしました。
ある健康番組がマイナスイオンについて特集し、それが広まってしまったのです。
マイナスイオンによって体の疲れが取れたり、肌のツヤがよくなったり、心が落ち着いたりなどなど…
そういった効果を謳った電化製品もたくさん販売されましたよね。
では実際にそういった効果があるのかといわれると、かなり怪しいです。
実をいうとマイナスの電気を帯びた水の微粒子が空気中に存在できるのはだいたい0.01秒ほど。
どんなに長くても1秒以上存在することはまずありません。人の体に届く前に消滅してしまうのです。
マイナスイオンブームに乗って大量に販売された電化製品も、効果が実感できないと消費者たちからクレームが入り、たちまち姿を消していきました。
そして2003年に景品表示法が改正されると、もはやマイナスイオンを謳った商品はほとんど絶滅します。
現在も販売されるイオン効果を謳った製品
でも「マイナスイオン」という言葉が使われていなくても、イオンの効果を謳った製品って今でも販売されていますよね。
プラズマ○○やミスト○○、ナノ○○など、独自の名称でその効果をアピールしています。
エアコンや空気清浄機、冷蔵庫、ドライヤーなどが多いでしょうか。
イオンのパワーで空気がきれいに!食べ物の鮮度が落ちにくい!髪のツヤがアップ!といったコピーはよく目にするような気がします。
あれからもう10年以上もたちますし、そういった技術が確立されているということなのでしょうか?
しかしある科学者は、これらの製品も本当にイオンがその効果をもたらしているかといわれるとかなり怪しいと指摘しています。
やっぱりマイナスイオンの効果についてはよくわからないままです。
ただし商品自体の効果については否定しているわけではなく、イオン以外の何らかの効果が働いてその効果がもたらされているのでは?とも言っています。
消費者としては複雑なような安心したような、、、これからもまだまだ研究が続きそうです。
あとがき
ブームから15年以上がたちましたが、いまだにその効果があいまいなマイナスイオン
あるとも言えないし、ないとも言えない。
なんとももどかしい存在ですね。
今後さらに研究が進んで、その正体を暴いてほしいものです。