先日行われた第91回選抜高等学校野球大会は、東邦高校の優勝で幕を閉じました。
今年も見ごたえのある試合が多数ありましたね。
ですが今回注目するのは審判の方です。
プロ野球は審判もプロですが、高校野球では一般の方がボランティアで行ってくれています。
ですがそんな高校野球の審判には、いったいどうすればなることができるのでしょうか。
高校野球の審判はボランティア
高校野球の審判は、基本的にはボランティアです。一般の方が無給で行ってくれます。
交通費や宿泊費などは支給されますが、試合で審判を務めることに対しての報酬は一切出ません。
審判の方は他にも仕事を持っていて、中には役所勤めの公務員の方もいらっしゃるそうです。
何とか仕事をやりくりして時間を作り、試合に駆けつけてくれるといいます。
1998年の夏の甲子園、いまだ伝説に残るPL対横浜 延長17回の死闘。
この試合で球審を務めていた岡本良一さんも、当時は川崎重工業の営業課課長だったそうですね。
この試合はこの日の第1試合で、朝8時半からのスタート。
順当にいけば10時過ぎくらいには終わる見込みだったため、岡本さんは15時から愛媛で商談の予定を入れていたそうです。
まあ実際には3時間37分にも及ぶ熱戦になったため、商談は延期してもらったそうですが(笑)
こんな感じで、高校野球の審判の方はたいてい本業と掛け持ちで務めてくれています。
審判を務めるには会社の理解も必要らしく、そこが結構なハードルなんだとか。
岡本良一さんの場合、もともと社会人野球の選手として川崎重工でプレーしていて、選出として引退後に高校野球の審判を務めることを決意したそうです。
なので会社からの理解もスムーズだったんでしょうね。
高校野球の審判になるためには?
ですが高校野球の審判になるには、いったいどのような手順を踏めばいいのでしょうか。
プロ野球だったら審判もプロですから、明確な採用ルートがありますし、2013年には審判養成学校も設立されました。
でも高校野球の審判って一般公募なんかはされていませんし、どんなルートがあるのでしょうか。
高校野球の審判になるためには、まず所属する都道府県の高野連に、高校野球審判員として登録されなければなりません。
自分で高野連に連絡する方法や、自身の出身校の野球部部長・監督から推薦してもらう方法などなど。
大学野球や社会人野球で審判を務めている方が引き抜かれることもあるみたいです。
特に特別な資格が必要なわけではありませんが、野球経験の有無や年齢制限など、都道府県によって条件はバラバラ。
ある県では野球経験がなければ絶対にダメということもありますし、またある県では野球経験がなくても教員ならOKというところもあります。
高野連への登録が済んだら、審判講習会を受講し、基本動作やストライクゾーンの確認を行います。
その後は練習試合で実戦経験を積んでいき、1年ほどたった後に地区大会、つまり公式戦への参加が認められるそうです。
甲子園で審判を務めるには
では地区大会ではなく、全国大会、甲子園の試合に審判として出場するにはどうすればいいのでしょうか。
甲子園の試合は、全国大会審判委員という、また別の組織の審判が務めます。
とはいってもこの全国大会審判委員も、やっぱり各都道府県で高校野球審判員を務めた方から選ばれます。
地区大会で審判員として数年以上の活動歴があり、その実績やジャッジの正確性、人間性などを考慮されて、高野連から推薦を受けるとのこと。
またそれとは別に派遣審判員に選ばれるという方法もあります。
数年に1度、全国から8人だけが選ばれるそうで、こちらも高野連からの推薦が主になっています。
基本的には全国大会審判委員も派遣審判員もグラウンドに立てばその役割は変わりません。
ただ、球審だけは必ず全国大会審判委員から選ばれるといいます。
特に甲子園の決勝で球審を務めるのは全国大会審判委員の中でも選ばれた人のみで、とても栄誉のあることなんだそうです。
給与は出なくても、それ以上のやりがいを見つけた方ばかりなのでしょう。
あとがき
実はボランティア活動だった高校野球の審判。
毎年あれだけのように注目される大会なのに、ボランティアだなんて意外ですよね。
ですが熱意のある審判しかないことは間違いないですし、お金には代え難いやりがいもあるのでしょう。
これから高校野球を見るときには審判にも注目したいですね。