9月に入り、プロ野球ファンの皆さんはそわそわし始めているのではないでしょうか。
セ・リーグでもパ・リーグでもマジックが点灯し始め、いよいよ優勝チームが決まろうとしています。
ですがマジックっていったいどういう条件で点灯するのでしょうか。
毎年当たり前のように受け入れていたこの数字ですが、プロ野球の謎の1つでもありますよね。
今回はこのマジックを紐解いてみました。
シーズン佳境に点灯するマジック
9月に入り、プロ野球のペナントレースも佳境に入りました。
セ・リーグでは巨人がマジックを点灯させ、パ・リーグでは西武とソフトバンクが激しい首位争いを繰り広げています。
ところで毎年思うことなのですが、マジックっていったい何なのでしょうか?
当たり前のように受け入れていましたが、点灯したり消滅したり、1つ減ったり2つ減ったり、
マジックが0になれば優勝ということ部分だけはシンプルなのですが、点灯する条件などはわかりづらいですよね。
今回はこのマジックについて詳しく調べてみました。
マジックを理解するには自力優勝がキー
マジックを理解するためには、「自力優勝」について知っておく必要があります。
自力優勝というのは、
「残りの試合を全勝すれば、それ以外の試合がどのような結果になろうとも優勝できる」
という状況です。
主に2位以下のチームを対象に使われる言葉ですね。
(1位のチームが残り試合を全勝すれば優勝できるのは当たり前ですから)
ちょっとわかりにくいので、今シーズンのセ・リーグを例に挙げてみてみましょう。
現在首位には読売ジャイアンツが、2位には横浜DeNAベイスターズが位置しています。
この時、DeNAが残りの試合を全勝したと仮定すると、巨人の成績にかかわらず優勝できるというのが自力優勝の考え方です。
「DeNAが残り試合を全勝すれば、巨人がDeNA戦以外の残りの試合をすべて勝ったとしても逆転優勝が可能である」と言い換えることもできますね。
逆にDeNAが残り試合を全勝しても、巨人がDeNA戦以外の残り試合を全勝すれば巨人が優勝という状況なら、自力優勝は消滅しているということになります。
「残り試合を全勝する」ということが前提となっているのでいまいち現実的ではないのですが、
マジックが点灯するタイミングは「他の5球団の自力優勝が消滅した時」なので、まず自力優勝がどういうものなのかを押さえておかなければなりません。
DeNAの自力優勝消滅により巨人にマジック点灯
2019年シーズンのセ・リーグは、8月24日に初めて巨人にマジックが点灯しました。
8月13日に広島東洋カープの自力優勝が消滅し、自力優勝の可能性を残しているのがDeNAのみという状況だったのですが、
この日行われた巨人-DeNAの直接対決を巨人が制し、DeNAの自力優勝を消滅させたのです。
まずその前日の8月23日の状況から振り返ってみると、こんな感じになっていました。
巨 人:114試合64勝48敗2分 勝率.571
DeNA:117試合59勝55敗3分 勝率.518
シーズンは全143試合なので、巨人が29試合、DeNAが26試合を残しているという状況ですね。
また巨人-DeNAの直接対決もまだ9戦残っていることもポイントです。
では自力優勝の可能性について見ていくと、
もしDeNAが残り試合を全勝することができれば、その時の成績は
85勝55敗3分 勝率.607
一方で巨人がDeNA戦以外の全試合に勝利した時の成績は
84勝57敗2分 勝率.596
勝率でDeNAが上回り、逆転優勝と成りました。
しかし現実には8月24日の直接対決を巨人が制し、それぞれの成績は
巨 人:115試合65勝48敗2分 勝率.575
DeNA:118試合59勝56敗3分 勝率.513
となりました。
ここで再び自力優勝について見ていくと、
DeNAが残り25試合を全勝した時の成績は
84勝56敗3分 勝率.600
巨人がDeNA戦以外のすべての試合に勝利した時の成績は
86勝54敗2分 勝率.610
となり、DeNAは巨人の勝率を上回ることができません。
これが自力優勝の消滅であり、このタイミングでセ・リーグ5球団の自力優勝がすべて消滅、
巨人にマジック20が点灯することとなりました。
自力優勝は復活する?マジックが消滅する条件
マジックのややこしいところというと、1つ減ったり2つ減ったり、あるいはマジック自体が消えたりすることもあるという点ですね。
実際に9月1日には巨人のマジックが消滅してしまいました。
これはDeNAの自力優勝が復活したからですね。
巨人にマジックが点灯してからというものの、DeNAは5連勝を記録し、巨人との差を再び詰めてました。
一方の巨人は勝ったり負けたりを繰り返し、9月1日の阪神戦の敗北によりついにマジックが消滅。
この時の成績は
巨 人:122試合68勝52敗2分 勝率.567
DeNA:125試合65勝57敗3分 勝率.533
(直接対決は残り5試合)
再び自力優勝(DeNAが全勝・巨人がDeNA戦以外全勝)の条件と照らし合わせてみると、
巨 人:143試合83勝58敗2分 勝率.588
DeNA:143試合83勝57敗3分 勝率.592
となり、DeNAが巨人の勝率を上回ることができます。
だから自力優勝が復活し、マジックが消滅したのです。
このように、自力優勝の可能性が復活すればマジックが消滅、自力優勝が消滅すればマジックは再点灯。
2チームの勝敗によって点いたり消えたりするものなのです。
ちなみに2位チームの自力優勝の可能性が完全に消滅した時、
(つまりDeNAが残り試合を全勝・巨人が残り試合を全敗しても巨人の方が勝率が上という状況になったとき)
その瞬間マジックは0になって巨人の優勝が確定します。
マジックは基本的にはチームが勝てば1つ減るものですが、
今回のDeNAのように自力優勝復活の可能性を残すチームが敗退してもマジックは1つ減ります。
マジックが一気に2つ減ることがあるのもそのせいです。
自力優勝は残り試合全勝を前提として考えるため、いまいちピンとこない方もいるかもしれません。
ただマジック自体は毎年のように出てくる言葉ですし、野球熱があるうちに覚えておくのがおすすめです。
あとがき
いろいろとややこしいプロ野球のマジック制度。野球って意外と謎の用語が多かったりしますよね。
プレーは見ていて面白いのですが、こういう部分が新規ファン参入のハードルになっているのかも。
ですが野球にどっぷりハマりそうな方は、ぜひともこういった用語を覚えていってください。
野球を見る目がどんどん鍛えられていきます。