皆さんの家庭にもサラダ油は常備されているかと思います。
ですが、サラダ油の「サラダ」っていったい何なのでしょう。
名前の通り野菜からできた油ということでしょうか?
今回はそんな疑問について詳しく調べてみました。
サラダ油は「サラダ用」の油
サラダ油の原料は菜種や大豆など、皆さんもよく知る食材からできています。
ですがこれらはサラダとは言いませんよね。
ではこのサラダはいったい何なのかというと、サラダ用の油ということです。
もともと日本では油は揚げ物くらいにしか使われていませんでした。
一方で西洋ではドレッシングのように野菜にかけたりして使われていました。
そして日本でも同じようにサラダにかけるドレッシング用の油を作ろうということになり、大正13年に日本初のサラダ油となる「日清サラダ油」が登場したのです。
ということで、サラダ油の「サラダ」は、サラダにもかけて食べられるという意味でした。
これ以降、加熱しなくても生で食べられるほど精製度の高い油が、サラダ油として広まっていきます。
現在だと国内では日本農林規格(JAS)の定める基準を満たした原材料を使用すること、
なおかつJAS認定工場で製造されたものでなければサラダ油と名乗ってはいけないことになっています。
ちなみに原料として認められているのも「菜種・大豆・とうもろこし・ひまわり・ゴマ・紅花・綿実・米・ぶどう」の9種類のみです。
ゴマ油もサラダ油の一種?
ちなみに原料の中に「ゴマ」とあるのですが、ゴマ油とサラダ油は同じものということになるのでしょうか。
これに関して言えば、製造過程での違いが油の違いになってきます。
油は原料を「圧搾・抽出」し、その後「精製」という工程を経て製造されます。
精製とは遊離脂肪酸や色素、有臭物質を取り除く工程ですね。
この精製の工程をどれだけ行うかによって、油の種類が変わってくるのです。
・精製を全く行わないのが「バージンオイル」
・色や香りがそのまま残る程度に精製しているのが「半精製油」
・しっかりと脱色・脱臭されるまで精製した油が「精製油」
・それ以上に精製を行なったものが「サラダ油」
となります
このうちゴマ油は半精製油ですね。ゴマの香りをしっかりと残したものになります。
その一方で同じゴマを原料としていても、しっかりと精製して脱色・脱臭されていればサラダ油となります。
ゴマ油は香りづけの用途に使われることが多いため、あまり精製されません。
色もハッキリとわかる茶色をしています。
一方でサラダ油は生食を想定して作られているので、臭いはほぼ0にまで取り除かれています。
おかげでクセがなくて使いやすいですよね。色も透明感があります。
このように油は用途によって精製の度合いが変わり、それにより油の種類も変わってきます。
実は違う菜種油とキャノーラ油
もう1つ油についての知識を紹介しておきましょう。
サラダ油の原料としても紹介した「菜種」ですが、この油は半精製油にも精製油にも使われています。
そして「キャノーラ油」も菜種を使った油としておなじみになってきましたね。
しかし、実は菜種油とキャノーラ油は、同じ菜種を使った油でも別物として扱われています。
日本で流通している菜種油は通常通り栽培されたセイヨウアブラナから抽出されたものです。
しかし、アメリカでは菜種油に含まれるエルカ酸を過剰摂取すると心臓障害のリスクが高まるとして、菜種油の食用が禁止されていたのです。
アメリカでは日本以上に油を多用するため、そういったリスクも見逃せなかったのでしょう。
そんな中でカナダがアブラナの遺伝子組み換えに成功し、エルカ酸を含まない「キャノーラ品種」を開発しました。
そこから抽出されたものが「キャノーラ油」なのです。
(遺伝子組み換え食品の是非についてはまたいずれ…)
菜種油もキャノーラ油もサラダ油という区分には含まれているのですが、実は明確な違いのあるのですね。
あとがき
サラダ油は実は「サラダにかけて食べる」用の油として開発されました。
てんぷらや炒め物など幅広い用途で使える油なので、今やドレッシングに使っている方は多くないかもしれませんね。
もはや私たちの生活には欠かせないものとなったサラダ油ですが、実はたくさんの可能性を秘めた油だったということです。